sacqueline’s diary

久しぶりに読書にはまりました。読んでいった本の覚書と読書感想です。

孤児 ファン・ホセ・サエール 寺尾隆吉訳

心に残ったところ つまり、ある出来事を覚えているからといって、それが本当に起こったとは限らない、ということだ。同じように、過去に見たことがあるはずの夢を何ヶ月、何年経ったあとで思い出しても、それが、前日の夜見た夢ではなくて、遠い過去に見た夢…

場所/ある女 アニー・エルノー 堀茂樹訳

場所は父の死後 ある女は母の死後 ともに著者の父のこと、母のことをひとりの人として客観的に綴った作品。 場所は、著者と父の差異、距離感、お互いの視点を思い出もまじえ書いた作品。 ある女は、今も強い感情の嵐を私に残している。 それは、三年前に永眠…

猫とともに去りぬ ジャンニ・ロダーニ

大人な粋なファンタジー。 ユーモアとチクッとする粋な皮肉が入り混じっていて、くすっと自然と笑いがこみあげてくる絵本のような短編小説。 私は大好きかなぁ、こういうの。 心に残った好きな一文。 〜まったく不思議な話である。 どう考えたところで、 30…

破獄 吉村昭

脱獄王といわれた佐久間の脱獄を中心に据え、大戦前・戦中・戦後の社会情勢、刑務所をとりまく状況を描いた小説。 戦中戦後の刑務所のおかれている状況なんて考えたこともなかったので、看守の信条、心情・刑務所の維持、食料事情など、脱獄について以上に刑…

シベリア物語 長谷川四郎

思わずくすっと笑ってしまったところ 〜機械と機械に追われて機械を追いかけ、多忙を極めて、まことに味気ないものである。その機械を動かすものは、彼ではなく、彼以上の、権威ある存在なのだから。かかる存在によって機械は動かされ、そして、この機械によ…

アンダーグラウンド 村上春樹

アンダーグランド 読後、ずっしり頭と心にずつしりくる。 私の解釈・認識・みている視点で、みえてくることが変わってくるといつも感じてる。 だから、ちゃんとアンダーグランドに書かれていることを私のというバイヤスなしに受け止めてるのかなぁ。ちゃんと…

崩壊 

崩壊 オラシオ・カステジヤーノス・モヤ (ホンジュラス生まれ、エル・サルバドル作家) 寺尾高吉訳 はじめから崩壊している。 読み進めていくと、人ってなんて自分自身と違う考え、意見を持っているというだけで、 暴力的、攻撃的になれるんだろう。人間って…

アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー

マーク・トウェイン アーサー王宮廷の(コネチカット)ヤンキー 砂川宏一訳(2000)と滝口直太郎訳(1976) 数ページ読みくらべて、砂川さんのほうがしっくり読みやすかった。 滝口直太郎訳は、註釈が充実している。 本文のレイアウトが、とてもインパクトある。 …

本当の戦争の話をしよう 

本当の戦争の話をしよう ティム・オブライエン 村上春樹訳 本当の戦争の話をしようから 戦争は地獄だ。でもそれは物事の半分も表わしていない。なぜなら戦争というものは同時に謎であり恐怖でもあり冒険であり勇気であり発見であり聖なることであり憐れみで…

はるかな星 ESTAELLA DISTANTE

ロベルト・ボラーニョ roberto bolano でだしの 誰にも見られずに落ちていく星はあるのだろうか。 by ウィリアム・フォークナー が一番心に残る。 あとは…、 ミステリーなのか、回想なのか あまり乗れなかった作品。 ランキング参加中読書

供述によるとペレイラは…

アントニオ・タブッキ (イタリア ポルトガルをこよなく愛する) 「供述によると」ではじまり、「そうペレイラは供述している」でおわる。 誰に・どこで・いつ、供述しているのかはあかされないままおわる。 あんなに政治にはかかわりたくないと思っていたペレ…

軽蔑

アルベルト.モラヴィア (イタリア) 大久保昭夫訳 読後の感想、めんどくさい男。 もう一度、出だしを読んでみる。 結婚して最初の二年間は、妻とわたしの関係は完全なものだった。 本当に? 語り手の゙リッカルドが、そう思いこんでいただけなのかも…。 リッ…

マイトレイ

ミルチャ・エリアーデ …まだ私のことを覚えているだろうか、マイトレイ? そうして、覚えていたら、私を許してくれるだろうか?…… このはじまりが好き。 エリアーデは、とりあえず酷いやつと何度も独り言をつぶやいたことか。 けど、中盤から インドを体現した…

イワン·デニーソヴィッチの1日

ショーホフは、すっかり満ちたりた気持ちで眠りに落ちた。…一日が、少しも憂うつなところのない、ほとんど幸せとさえいえる一日が過ぎ去ったのだ。こんな日が、彼の刑期のはじめから終わりまで。三千六百五十三日あった。閏年のために、三日おまけがついたの…

津軽

津軽は、ほんわかエピソード満載。 くすっと笑ったり、 やれやれと思ったり、 ニヤっとしたり、 ほろっと涙したり 太宰治の津軽愛、まわりの人たちへの愛を感じれる作品。 太宰治もまわりの人たちにとっても愛されてたんだなぁってしみじみ思う。 津軽を読ん…

厭な物語

後味の悪い、できればあまり出会いたくないような短編を集めた本。 作家の持ち味がギュッと凝縮されてるのかなぁ。 アガサ・クリスティは、品のある厭さ。 フェリシテは、せつない。 ナイト·オブ·ザ·ホラー·ショウは、えげつない。 赤は、やるせない。 うし…

輝ける闇

心に残ったところ。 或る哲学者の悲痛な饒舌に私は従いたい。人びとは資格も知識も德もない輩によって、きびしく監視され、検査され、スパイされ、指揮され、法律をつくられ、規制さら、枠にはめられ、教育され、説教され、吟味され、評価され、判定され、難…

それだも 人生にイエスという

V.E.フランクル 心に残った言葉 生きる意味を問うてはならぬ。人生こそが問いを出し、私たちは問われている存在。 読後、 問われる存在としてのわたし。 問われる存在として ちゃんと生きているのかしらとやっぱり思ってしまう。 ランキング参加中読書

小澤征爾さんと、音楽について話をする

小澤征爾と村上春樹との会話から 音楽が語りかけてくるかんじ。 どんな音か聴いてみたい。 吉田秀和さんの本以来、 音楽がとつても聴きたくなった。 小澤征爾さんと、音楽について話をする 村上春樹

羊をめぐる冒険

かなしい、 何が哀しいのか、悲しいのか わからないけど かなしい終わりかた。 ひつじをめぐる冒険 村上春樹 1982年 ランキング参加中読書

春の雪 豊饒の海(一)

三島由紀夫の小説で こんなにこころがかき乱され、ゆさぶられ、なみだするとは思わなかった。 読後、 しばらくぼう然、放心状態。 なにも手につかない。 こころも頭もいっぱいいっぱい。 本当に読んでよかった。 続きが楽しみ。 頑張って気力、体力たくわえ…

恋する伊勢物語(上)

とっても可愛らしい本。 俵万智のつっこみどころもいい感じ。 高校生のころ、こういう本に出逢ってたら 古文好きになってたろうな。 短歌のリズム、言葉遣い、 今の言葉と違って趣がある。 こういう言葉遣い難しいけど、 好きかも。 恋する伊勢物語(上) 俵 …

風の歌を聴け

TVピープルを読んで、村上春樹の作品をデビューから追っかけてみよう! というわけで、風の歌を聴け。 村上春樹の文、やっぱり好き。 哀しさ、優しさ、限りなく透明にちかい水色を感じる。 ·しかし、僕たちが年中しゃべり続け、それも真実しかしゃべらないと…

はい、泳げません。

作者の 泳ぐってどういう事? 身体の使い方、 陸、水中での感覚の違い、 を立ち止まって(立ち上がって)とことん考えぬいていくところが凄まじい。 日本泳法はならってみたくなっちゃった。 水の中でぷかぷかうきながら夢枕(腕枕)、座禅をしてみたい。 とって…

スクラップ·アンド·ビルド

尊厳死アシストという言葉が気になって読んでみた。 読書後感想は、ふ〜んって感じ。 主人公の身体を鍛える。集中して勉強をする。会社の面接に行く。など、どれも自分自身のこころのもちようでなんとかなるけど。 でもでも、 歳をとるということ、 身体の自…

新·四字熟語

新·四字熟語にあわせて、かかれた田中象雨の字が、どれもこれも好き。 田中象雨さんの字はとてもおしゃべり。 じ〜と字をみていると、新·四字熟語の意味やいわんとしてることの雰囲気がなんとな〜くこんな感じなのかな?って伝わってくる感じ。 想像しながら…

憂国

金閣寺以来の三島由紀夫。 30ページくらいの短編。 けど、すごいエネルギーが竜巻のようにうずまいてる。 全身全霊で受けとめたら、打ちのめされた。 花ざかりの森·憂国に収録 憂国 三島由紀夫 ランキング参加中読書

火花

考えそうなことはわかっても、考えてることはわからなかった。 一番印象的な文章。 火花。 逆にすると花火。 熱海の花火ではじまって、季節がめぐり月日が流れ、熱海の花火で終わる。 小説は、回想ではじまる。 さらっと読める、けどう〜ん。 書かれてそうな…

第三紀層の魚

うつくしい。 何箇所も何箇所も こころ揺さぶられ、こころ揺り動く。 共喰いに収録 田中慎弥 ランキング参加中読書

共喰い

舞台設定は昭和63年だけど、 私の頭に浮かんでくる風景はもっと前、 成瀬だったり小津だったりの時代の空気だったり、風景。 不思議。 ざらざらとしたつっかかる文章。 つっかかるから、行ったり来たり。 読み返してみよう。 共喰い 田中慎弥 ランキング参加…