崩壊
崩壊
オラシオ・カステジヤーノス・モヤ
(ホンジュラス生まれ、エル・サルバドル作家)
寺尾高吉訳
はじめから崩壊している。
読み進めていくと、人ってなんて自分自身と違う考え、意見を持っているというだけで、
暴力的、攻撃的になれるんだろう。人間ってつくづく恐い生きものだろうと感じた。
章ごとに、直接的・間接的・第三者的に物語りが視点をかえて描かれてる。
愛してる思い、愛されたい思い、
思いが通じない憤り、寂しさから攻撃的になったり、悪いところばかり気になったり、哀しすぎる。
けど、共感できない。
暴力的ともいえることも事柄も、距離・視点を変えることで少しのやさしさ、かなしさ、なんだかなぁ~というおもいが滲み出てくる。
最後に心に残った一文
祖国も土地も失ったまま残りの一生をさまよい歩くなんて地獄だ