sacqueline’s diary

久しぶりに読書にはまりました。読んでいった本の覚書と読書感想です。

輝ける闇

心に残ったところ。

或る哲学者の悲痛な饒舌に私は従いたい。人びとは資格も知識も德もない輩によって、きびしく監視され、検査され、スパイされ、指揮され、法律をつくられ、規制さら、枠にはめられ、教育され、説教され、吟味され、評価され、判定され、難詰され、断罪された。取引きや売買、物価変動のたびに、取得られ、登録され、調査され、料金をきめられ、捺印され、測定され、税の査定をされ、賦課され、免許され、認可され、許可され、但書をつけられ、説諭され、邪魔され、改善させられ、矯正させられ、訂正された。公共の福祉という口実、全体の利益の名において、利用され、訓練され、強奪され、搾取され、独占され、着服され、税を絞られ、だまされ、盗まれ、そして抵抗の兆しでも見せたり、少しでも嘆こうものなら、抑圧され、改心させられ、蔑視され、怒られ、追いつめられ、こづかれ、殴り倒され、武器をとりあげられ、縛られ、投獄され、機関銃で掃殺され、裁かれ、罪を宣言され、流刑にされ、生贄とされ、売られ、裏切られ、なおそのうえにもてあそばれ、冷笑され、侮辱され、名誉を汚されたのだった。 

輝ける闇 168ページ

開高健

 

開高健の生々しい気迫が迫ってくる。

 

ベトナム戦記 開高健 (ルポルタージュ)

輝ける闇より、淡々と冷静に記述されている。

より一層、闇·みえない圧力·エネルギーを感じる。